第181回IEC研究会

日時:2005年2月13日(日)
   13:30〜17:00

場所:関学大阪梅田キャンパス
大阪市北区茶屋町19−19
    アプローズタワー14階
    電話:06−6485−5611
   http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/

司会:松下さん
書記:西本

出席者(敬称略):松下、江見、高橋、野部、西本、下倉、工藤、石川、河野、
河俣、新田、中條、正木、矢島、野口、田中(規)
届出による欠席者(敬称略):石桁、大森、中西、田淵、福田、横山、中村、西垣、
谷口、礒野

1.会務(諸会連絡・報告、情報回覧など)
a)研究会等予定
・メディア教育開発センター GLOBE設立記念シンポジウム・セミナー
 2月16日(水)〜17日(木) http://resource01.nime.ac.jp/globe/
・SCS利用研修 高等教育に学ぶ障害者への配慮と学習支援 2月17日(木)など
・「情報」授業支援セミナー(千里金蘭大学)2月19日(土)14時〜18時30分
・JSiSE 第19回学生によるコンピュ−タ利用研究発表会(追手門学院大学) 3月5日
 (土)午後1時〜5時
・JSiSE 2004年度第6回研究会「情報教育の実践と評価」(摂南大学)3月12日
(土)
・防災世界子ども会議(淡路夢舞台国際会議場ほか) 3月25日(金)〜28日(月)
 (チラシ回覧) http://ndys.jearn.jp/
・JADIE 第1回全国大会(千里金蘭大学)6月25日(土)10時〜17時
 ※発表申し込み締め切り5月中旬、参加申し込み6月初旬(チラシ回覧)
・CIEC 2005PCカンファレンス(新潟大学・朱鷺メッセ) 8月5日(金)〜7日
(日)
 ※発表申し込み締め切り2月28日(月)
b)研究会報告
・情報教育講演会およびOpenTIESお披露目会(帝塚山大学)1月22日(土)
 OpenTIESの紹介 http://www.tiesnet.jp/ 講演会ビデオあり
c)回覧
・JADIE News Letter NO.1 第1回フォーラム(2004年12月11日(土))
・『教職基礎・情報機器の操作』 田中規久雄編著 高橋参吉、磯野貴美子、
 新田眞一、高橋朋子共著 コロナ社(2005年2月21日発行)
・『高等教育のユニバーサルデザイン化』 佐野(藤田)眞理子、吉原正治編著
 大学教育出版(2004)
・『情報モラルを鍛える』 赤堀侃司、野間俊彦、守末恵著 ぎょうせい(2004)
・インターネットの”詐欺”完全撃退法(雑誌特集記事)
 ヤフー・インターネット・ガイド2005年3月号

2.研究報告
a)グループ枠(第6グループ) 高橋先生(千里金蘭大学)
(1)『インターネット社会を生きるための情報倫理』 情報教育学研究会 実教出版
 (2002)改訂中(3月5日までに改訂第2稿締め切り)
 上記の内容を抜粋した小冊子(パンフレット)作成予定
(2)ビデオ『情報化社会の光と影』 NHKソフトウェア制作 実教出版(2003)→DVD化 
 (価格も改定、31,500円から15,000円に) 指導解説書つき(DVD見本回覧)
(3)千里金蘭大の授業(80名あまり)でMediaPlayer(ビデオ)+PowerPoint+Webに
 よるビデオ教材を閲覧しながらリアルタイムにコメントを書かせる試み。
・学習者の興味の焦点をコメントの数を指標として時間軸で分析できる。
・コメント数の時間別推移をグラフ化したところ、すべてのクラス(全3クラス)で反応ピークは、ほぼ一致。
・前もって予習し、コメントを書いてもらうことにより学習者の疑問や興味に応じた
 授業をすすめられる。もしくは学生各自が復習することができる。
・問題も、学習の終わった巻末などでなく、ビデオの途中で織り込むことにより学習者
 の緊張度の維持ができるのではないか?
・書かれたコメント(自由記述)をどのように分析したらよいのか検討中。
 →現在紙ベースで分析している
 →AUTOCODEという自由記述分析ソフトはある
  http://www.hmt.toyama-u.ac.jp/socio/satoh/autocode/index.html
・教員が問題作成、コメント(解説)作成できる機能もある。
・質疑応答、コメント
 Q:どのような環境で?
 A:学生プロジェクト+講義形式で普段の授業は進めているが、それ以外の時間帯
  で課題として普通教室でノートPCによりビデオ閲覧。
 Q:PowerPointとビデオの連携はDirectorなど何か既存のソフトを使っているのか?
 A:大倉先生(大谷女子大)が作成されたシステムを利用している
  (以前IEC研究会で発表あり)
 Q:ビデオのストーリー順番を変えても変化(興味の度合いの指標であるコメント数
  や内容などに)はないのか?コンテンツそのものか、提示する順番が影響ある
  のか?
 A:ビデオ構成は、光から影へ転換、未来は光を当てるというコンセプトで作成した。
  影から入ると、拒否感が出るのでは。かといって光のみでは問題がある。
  ビデオの構成を実際に使う際に変えることができる(使う教員の個性が織り込め
  る)のが本教材のメリット。
  ビデオの内容(画像など)を改変するのは著作権の侵害になるが、コメント部など
  に最新情報へのリンクをはるなど、教員が補足(改変)できる余地あり。
(4)情報の科学的理解
 大阪府立高専 卒研生による「学習教材の配布および評価のためのWebサイト」 
 http://karekinada.ddo.jp/~frog/html/kagaku/index.html
・情報の科学的理解をすすめる重要性。
・普通教科「情報」ではほとんど扱われていないのが現状。
・材を配布するだけでなく、学習指導案をアップロードできる(一部公開あり)。
・「データベース」の教材が出来ていない。

b)自由枠 野部先生(久御山高等学校,放送大学大学院)
高等学校情報科における情報の整理と発信の学習に関する研究
−KJ法を利用した自己紹介の作成−
(配布資料B4版3枚)
<概要>(配布資料から転載)
教科「情報」の授業において、情報発信のひとつとして、ワープロによる自己紹介の
作成をおこなっている。初年度は「何を書いたらよいかわからない」という意見
が多く、
それを踏まえて、本年度はKJ法を取り入れた。自分に関する情報を書き出して整理
をすることで、「何を発信するか」ということを明確にするのが目的である。
・授業計画概要
 1限目 課題作成の説明と目的 情報のニーズ(例:他の人だったら何を知りたい
 のか)の調査(Excelを使い記入させ保存)
 2限目 ニーズに応じた素材出し(カード作り)
 思いついたところから順番関係なく書いてゆく(Excel使用)
 3限目 項目整理(素材をまとめる;表札作り)
 素材出しが少ない学生/カード1枚ごとにそれぞれ表札をつけようとする/多くを
 ひとつにまとめてしまおうとする
 4限目 (本来のKJ法では「空中配置」が入るがそれを省いて)内容の絞込みと実
 習による課題作成
 素材出しが少な過ぎる、または多過ぎてまとまらないなど苦労するケースもあった
 が、おおむねスムーズに作成可
・授業アンケートを実施
 「活用しやすかった」「まとめるときに便利だった」というプラス意見が74名
(120名中)
 と優勢。
 自由記述では「自分を知る機会になった」が6名と興味深い意見がみられた。
 「なくても書けた」「使い方がわからなかった」などがマイナス意見としてあった。
 情報活用実践力の質問紙(60項目)と満足度の関連(配布資料表4)
 →実践力中位層で満足度高の傾向。
 自己分析の深度と情報活用実践力との関連(配布資料表5)
 →実践力高で自己分析深度高、実践力中・低で自己分析深度は比較的低い傾向。
 情報活用実践力と素材作成能力(配布資料表6)
 →前者が高ければ後者も高い。つまり相関がみられる。
・質疑応答、コメント(以下Cと略)
 C:情報Aで情報の整理と発信の中でKJ法の名前は出てくるが、ほとんど授業で
  実践されていない(のではないか)。
 Q:自己紹介には目的がない;KJ法を自己紹介を作成するのに使うのは適切なの
  か?自己紹介というのは対象によって変わりうるのでは?
 A:「何書いたらいいか分からない」状態から引き出すためにKJ法を利用した。
  名前、生年月日など事項を羅列したものでなく、自己アピールをさせたかった
 (授業ではKJ法という名前は出していない)。
 Q:”情報活用実践力の質問紙”の出所は?
 A:高比良美詠子ほか 情報活用の実践力尺度の作成と信頼性および妥当性の
  検討 日本教育工学雑誌、24(4)、247-256(2001)から。
 Q:生徒間の相互評価はさせているのか?
 A:おこなっている。自己紹介を文集にして配布もしている。内容/デザイン・絵
  (モノクロ)の両面から評価させている。
 C:ゼミで卒業論文テーマを考える際に、KJ法的な手法を使うこともある。
 C:就職指導の際に、表札リストから自分に当てはまるものを選ばせ、そこから
  自己紹介文章を生成する方法もある。
 C:他者紹介をさせた後で自己紹介をさせるとやりやすい、というケースもある。
 Q:この方法でないと出てこないような自己紹介内容の具体例はあるのか?
 A:論文発表時に原稿に織り込む予定。
 C:KJ法を自己紹介に適用することのメリット/デメリットを明確に(配布資料
  後半部分の結果との関連が分かりにくい)。
 C:情報活用実践力の定義と、実践力の算出手続きを明確に。
 C:自己分析の「深度」の分類の定義を明確に。

3.その他
情報教育に対する「私の主張」の議論継続。
前回の議論については、
[iec-ken 2317] 第180回IEC研究会議事録案
をご参照ください。
今回は横山先生がご欠席のこともあり、具体的に議論を詰めることはせず。
誰が何を書くというように、最初から枠を決めて割り振りするより、各人それぞれ
自由に執筆してもらいまとめた方がよいのでは?
「私の主張」は、職業教育としての情報教育/情報活用能力としての情報教育/
コンピュータ・サイエンス、の3つにクラスター分類できるのでは?

次回第182回研究会について
・3月13日(日)(関学大阪梅田キャンパス)グループ発表は未定
・4月10日(日)(会場未定)グループ発表(システム部会?)