第191回IEC研究会議事録

日時:2006年1月8日(日)
   13:30〜17:00

場所:関学大阪梅田キャンパス
大阪市北区茶屋町19−19
    アプローズタワー14階
    電話:06−6485−5611
   http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/

司会(敬称略):横山
書記:西本

出席(敬称略):西本,秋山,西野,正木,横山,石川,河野,金田,田中
(規),高橋,中村(民),下倉,阿濱,小谷,中條,石桁
届け出による欠席(敬称略):野口,新田,野部,中西,江見
見学(敬称略):角南

内容:

1.会務(諸会連絡・報告,情報回覧等)

(a)諸会連絡・報告
<おわったもの>
2005年12月3日-4日 関西学院大総合政策学部リサーチフェア
伊丹市立伊丹高等学校,兵庫県立三田祥雲館高等学校との高大連携プロジェクト
(両高校とも生徒が発表)
http://www.r-fair.info/
http://www.hyogo-c.ed.jp/~shoun-hs/hapyou/hapyou.html

<これから>
3月11日(土)13:00-17:00 JSiSE関西支部第20回学生によるコンピュ−タ利
用研究発表会 兵庫県民会館3階会議室(303,304) BBS記事00441に詳細情報有り
発表者募集
申込締切:平成18年2月3日(金) ,原稿締切:平成18年2月24日(金)
[問合せ先] 
   〒651-2194 神戸市西区学園東町8丁目3番地
   神戸市立工業高等専門学校 電子工学科
   若林 茂
   TEL.078-795-3244 FAX.078-795-3314
   E-mail. wakabaya@kobe-kosen.ac.jp
   (連絡はE-mailにてお願いいたします)
2006年3月17日(金)JSiSE 2005第6回研究会発表募集「情報教育の実績と新しい
展開」 及び 情報教育全般 沖縄工業高等専門学校 BBS記事00440に詳細情報有り
発表申込締め切り2006年1月16日(月),原稿締め切り2006年2月13日(月)
発表申込先:摂南大学 経営情報学部 松永公廣
TEL 072-839-9266,e-mail matunaga@kjo.setsunan.ac.jp

その他,会員に広報したい行事はBBSに投稿してください
http://bbs.psn.ne.jp/iec-ken/iecall/

(b)回覧
大学時報(2005年11月) 関学等私立大学の「大学の国際戦略」という記事あり
http://www.shidairen.or.jp/public/record/content/305.pdf

2.研究報告

(グループ枠・60分)
第1グループ(高等教育における情報教育)
横山宏先生(大阪電気通信大学)

1Gの最近のテーマ
 情報教育の何が情報教育なのか−デザイン手法の研究
 情報活用能力 何が情報活用能力なのか−事例研究
本日の発表は2005年11月26日の近畿情報教育連合 第7回合同研究会での発表
(情報教育で育成する能力を基にした大学での入口・出口教育のデザイン手法)
がベース(配布資料あり)
高度情報社会における大学
 初等・中等教育で「情報」を学習した生徒が大学に入学してくる(2006年度問題)
 大学への入口は様々(ストレートだけでなく編入等),社会(OB,OG,保護
者,企業)からの期待/科目設計者・教育担当者の期待 そして社会へと人材を
送り出す
情報教育の従来の教育とは異なった面
 社会のIT化に対応する要請;入学時の実力差大;PCを使わせることにより実力
差がはっきりし,拡大する;好き嫌いがはっきりしている;家庭環境による刷り
込み;センスに左右される面が大きい;他の科目との関連が深い
最近の大学生の様態は
 漢字・文章が書けない
 分数・小数の計算ができない
 他人の話をじっくり聞けない
さらに,社会情勢は
 技術の進歩が速い
 新しい情報機器システムの登場
 知識の陳腐化が速い
最近の学習の様態は
 できる学生とできない学生の差が大きい(二極化)
 言わなくても教員の言うことを前倒しでやってくる学生/いくら言ってもやら
ない学生
学生はどのようなカリキュラムで学習しているか
 すこし前の典型的な大学:専門科目(情報処理科目もこれに含む)と一般科目
で構成
 最近よくみかける大学:専門科目と一般科目の間に,「下支え能力・高度情報
社会への対応能力育成科目」とでも呼べそうなものが事実上存在しているのでは
ないか
高度情報社会が学生に求める能力とは
 直面する問題を多くの制約の中で自力(チームのメンバーとして)で解決できる
 知識,智恵,手腕を持つ可能性があり,社会や技術の変化の中でも長く活躍す
る能力を持つ可能性がある
高度情報社会で求められる能力の5つのカテゴリー
 基盤スキル;ヒューマンスキル;ビジネススキル;知的スキル;(情報)専門
スキル
具体的な情報活用能力(計12)
 論理的思考能力;情報収集能力;情報分析能力;仕組みを洞察する能力;情報
処理過程を把握する能力;問題発見能力;解決案創作能力;問題発見能力;解決
案創出能力;問題解決能力;プログラミング能力;プレゼンテーション能力;文
章作成能力;その他の能力
 →具体的にどの科目で教育するか,というのはさらに検討の余地あり(以下文
献はその提案例)
 『情報教育の知恵』(パワー社)も参考(個人的には情報活用能力とは何か,
というものをもっと追求していきたい気もする)
 『SEのための仕事術心得ノート』(日刊工業新聞社)
 『すぐに使える問題解決法入門』(日刊工業新聞社)
 『あしたジョー報教育』(IECで出したい;2005年度に”IEC本”とされていたもの) 
情報活用能力の育成には
 各教科または単独に具体的な育成目標能力を設定
 しかしながら,授業についていけない学生もいる
不足する能力(例:漢字が書けない)を事前に補う下支え教育
 情報活用能力は,受験とは大きく異なる;動機付けがうまくゆけば・・・
 具体例:日本語表現能力,報告書の書き方,ものごとを的確に認識する力,問
題の仮説を順序づけて検証する思考力,などなど
実態調査(JSiSE2005@金沢で発表)
 現状の分析として,マトリクス手法を使った能力と科目の対応分析を試みる
 科目はどのように設計されているのか?
 科目と視座(科目設計者,指導担当者等)・視点(学習目標,育成する能力等))
科目設計での合意にかかわる考え方
 設定した視座,関心の高い視座,暗黙の価値観
 先述のマトリクスに上記の「視座」を含めて考えられないか
 各人(担当者,科目設計者等)の視点からの見方が表で一覧できる
 科目設計手法になり得ないだろうか?

質疑応答(Cはコメント,Qは質問,Aは回答)
Q:専門教育科目と一般教育科目の間にサンドイッチされているが,下支え・高
度情報社会への対応はインフラ的で一番下になるものでは;入口科目が上,出口
科目が下部に配されているが,Y軸方向の意味があるのか
A:X軸が学年の進展を示すので,Y軸方向は,科目数(科目のボリューム)
C:大学生の様態について・・・それを高大連携の中で言うと,国語や算数を
きっちりやりなさいという論調につながる;科目「情報」がさらに肩身が狭くな
る恐れもある
C:専門教育でも一般教育でもない,というのは大学で受け入れられるものだろ
うか;情報関連科目は,どちらにもクロスして入っているのが現状
Q:下支え・高度情報社会への対応に向かい,専門教育科目と一般教育科目から
矢印がひいてあるがどういう意味か?
A:どちらにも関係があるということで両方からひいている
C:情報教育センターまたは生涯教育センターという名称で情報教育科目を供給
する形もある現状
C:リメディアル教育をどうするのかという問題;専門教育をするための,下支
えする能力を養成する学習センターという構想も出てきている現状がある
Q:「下支えする能力」とは一般的な「知能」の定義にかなり重なるところがあ
るように思う;大学(または学部)によって輩出すべき人材は異なっているはず
なので,いわゆる「知能(または適応能力)」と,大学学部によって社会から期
待される能力の養成とは分けて論じるほうがよいのでは
A:情報(情報社会)を扱うという視点から見ての話なのでこうなっている
C:DTDと生成文法の共通点;情報は言語能力(数学など他の能力)にもつながっ
てくるのではないだろうか
C:そのときに,情報学的な視点で切り込むという取り扱いも必要ではないか
C:高校の科目「情報」をふまえた入口科目という位置づけだが,これは大学の
先生の視点からの見方になっているのでは;高校側(生徒側)からの視点がまだ
欠けているように思う
C:高校では前の前のカリキュラム(自己学習能力の育成)で一本スジが通って
いる;自己学習能力をこの中でどのように位置づけるのか
Q:情報活用能力と下支えすべき能力の具体例はそれぞれ対応があるのか?
A:今のところは特に対応をつけていない(今後の課題)
Q:JABEEの審査で「デザイン能力」を強調される;例えば,研究デザイン(卒研
を自分で考えてやっていく);他分野の考えを理解する方法(例えばSE として
働く場合など);それが出口科目の中に入るのかもしれないが,社会においては
非常に要求されている能力のひとつと思われる
A:マトリクスの中にコーディネイト力,など具体的要素を入れて検討すること
も考えられる
C(第1G石桁先生):入口と出口の図(図2)→会員が大学で学んだ頃はどうだっ
たか;7,8年前に入口・出口科目を提案した頃は受け入れられなかった;今は割
合抵抗がない印象;カリキュラムは時代とともに変遷する,柔軟に立体的に(昔
は1・2年で一般科目,3・4年で専門科目という一本線)考えて欲しい
C:入口科目と出口科目をそれぞれ1年と4年でやっているのは関学総政(1年で総
合政策入門,4年で総合政策総論)

(自由枠・60分)
自己紹介(3分/人)
(1)所属・氏名
(2)最近の自分の取り組み・課題など
(3)IECへ期待すること

本日の見学者 角南先生(江見先生のご紹介)
大阪大学大学院で日本語教育の修士コース修了
フリーランス(日本語教師,インターネットビジネス/ECサイト構築)
3年ほど前のCIECカンファレンスを期に情報教育に興味を持つ

3.その他

JSiSE2005第6回研究会(ツアー)申込(現地集合のホテル決定等,MLに後日情報
流す)
研究会の申込1月16日 松永先生までメールで申込(BBS記事00400参照)
石桁先生8月26日 石桁先生古希お祝いの会(ヒルトンホテル)

次回研究会予定:
第192回研究会 2006年2月12日(日)13:30〜17:00
場所:関学大阪梅田キャンパス
グループ枠(第2・3G)
自由枠は未定

自由枠について
 外部の方に来ていただくというのはどうだろう
 外部の方を呼ぶ場合は(謝金など)どうするのか?→今まで出した例はない
 学会発表のたたき台としては歓迎
 自由枠がないときには,会員同士の全体的なディスカッションなどをしてもよ
いのでは(情報教育についての統一見解等)

IEC研究会200回記念(2006年11月の見込み)にパーティ等イベントをやってはど
うか 

グループの見直しをそろそろ
 グループ構成現状(2004年4月第171回研究会議事録より抜粋)
 第1グループ 世話役 正木先生
 第2・3グループ 世話役 中西先生
 第4グループ 世話役 岡本先生→休眠状態
 第6グループ 世話役 高橋先生
 第7グループ 世話役 中條先生

研究会発表予定について→遅くとも1週間前には発表予定が分かるようにして欲し
い(出張届けを出す必要性等)
グループ発表(の順番)も事前に分かるのならば整理しておけないか
 →[iec-ken 2588]参照

グループのミーティング利用に部屋を午前(10時半〜)からとることは可能なの
で利用していただきたい

高橋先生から情報倫理(実教)印税の件についてご報告([iec-ken 2578]参照)
IEC分の印税の管理は阿濱先生へ(情報倫理G分は山上先生)