第202回IEC研究会 日時:2007年1月14日(日) 13:30〜17:00 場所:関学大阪梅田キャンパス 大阪市北区茶屋町19−19 アプローズタワー14階 電話:06−6485−5611 http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/ 司会:横山先生 書記:西本 出席(敬称略):下倉,岸田,中村,河野,中西,工藤,江見,石川,矢島,大島,福田,中條,岡本,西本,高橋 届け出による欠席(敬称略):新田,野口,河俣,角南,金田 見学(敬称略):竹嶋,小野 内容: 1.会務(諸会連絡・報告,情報回覧等) (a)諸会連絡・報告 <おわったもの> 12月9月 JADIE第3回フォーラム@東京 「〜海外の情報教育から学ぶもの〜」 http://www.fest.or.jp/jadie/e_forum03.html 12月9日 シンポジウム「社会における発達障害者支援を考える」 関西学院大学総合 教育研究室主催 http://www.kwansei.ac.jp/Contents?cnid=5381&ax1=0&ax2=10&ax3=0&cdid=10&prid=51 64 12月26日 奈良産業大学 デジタルアーキビスト講習会 http://d-archivist.npo-dac.jp/ http://www.nara-su.ac.jp/ (以下,奈良産業大学のWebPageからの引用) 「高等学校の情報科教員を対象としたデジタルアーキビストの講習がおこなわれました 。午前中は3次元コンピュータグラフィックスの制作実習がおこなわれ、午後からは、 岐阜女子大学文化情報学部 久世 均 教授による講演、および全方位撮影、画像処理の 講座がおこなわれました。」 <これから> 1月27日(土)10時〜17時 兵庫県教育工学研究会 ひょうご女性交流館 http://park23.wakwak.com/?hyogo-edutech/ 要申込,当日参加も可能,資料代500円 1月27日(土) 特色GP採択シンポジウム「学生の自主性を高める教育学習支援システ ム」の成果と課題 帝塚山大学 2月10日(土)14時〜17時30分 実教出版主催 情報教育セミナー 京都コンピュータ 学院 詳細はML記事”[iec-ken 2845] 実教出版「情報」授業支援セミナーのご案内”を参照 申込は1月31日(水)までに,別紙エントリーシートを,フリーダイヤル0120-070-772 のFAXにて返送 2月17(土)-18日(日) 情報コミュニケーション学会第4回全国大会 摂南大学・寝 屋川学舎 http://www.cis.gr.jp/ 発表申し込み締切 1月22日(月),論文・資料提出締切 2月1日(木) 3月3日(土)13:00-17:00 第21回学生によるコンピュータ利用研究発表会 常磐会 学園大学 http://www.jsise.org/jsise-w/ 申込締切 平成19年2月2日(金) 3月17日(土) JSiSE第6回研究会 大学における情報教育の新たな展開−教科「情報 」との接続性− 千里金蘭大学 http://www.jsise.org/topics/200700317.html 申込締切1月15日(月),原稿締切2月13日(火) 8月2日(木) -4日(土) CIEC 2007PCカンファレンス 北海道大学 http://www.ciec.or.jp/ 分科会論文発表受付は2月28日(水)24:00 締切 2月11日(日) 大阪電気通信大学 卒業制作発表会・展示会「なわてん」2月9日-11日 に併せ(石桁先生の退職記念講演も) →BBS記事00531参照 →IEC研究会をここで併せて開催(横山先生提案,出席しているメンバーの賛同を得て 決定) →時間帯等はまだ未定(イベントの時間帯が未定のため) →5月19日(土)石桁先生講演会&パーティ?(各研究会等の関西支部が複数集結して ) →詳細はML記事”[iec-ken 2857] IEC 2月の定例研究会会場の件(IEC事務局:横 山)”を参照 <資料回覧> 『子どもと親と教師のためのサイバーリテラシー』 2007 矢野直明・サイバーリテラ シー研究所著 合同出版 『Yahoo! Internet Guide(2007年2月号)』 2006年最も話題になったWebPageの特集 『Time( 2006/12/21 発売号)』 “Person Of The Year”が“You” 『世界>(2007年2月号)』 特集「教師は何に追いつめられているのか」 『頭がよみがえる算数練習帳』 2006 竹内薫著 筑摩書房 『ケーススタディ 情報モラル』 第一学習社(高校採択用副教材) DVD『情報化社会の光と影』Ver1&2(2は作成中のものを回覧) 2.研究報告 (グループ枠,40分) 高等情報教育研究G 横山 宏 先生(大阪電気通信大学) 「大学における情報教育での科目設計手法の検討−設計に関わる6項目について−」 授業設計に至る理論展開 初等・中等教育:教育基本法→学習指導要領→教科書→学習者→授業設計 高等教育:大学設置基準→建学精神・理念→学部学科の教育目標(一般目標)→カリキ ュラム(科目名,単位数,配置)→シラバス(目標,方略,評価)→教科書→学習者→ 授業設計→授業(教育の実践) カリキュラム設計は授業設計の段階までも含む いち担当教員の立場からは「カリキュラムありき,科目ありき,授業をやって下さい。 目標・内容,方略,評価をまかせます。」 →科目設計とは日々の授業内容の設計とは異なる IT社会における大学での情報教育の位置づけ 情報教育科目は重要である;それさえ教えておけばまかなえる部分も大きい 大学教育の位置づけ 多様な学生(編入学生,一般社会人学生,学力レベル);外部(OB・OG,保護者,社会 )からの期待と大学内(科目設計者,教育担当者)の願いと思い 大卒リテラシー(学習力,人間力など)を持って卒業→企業社会(OJT)→一人前の社 会人 ※ 院卒リテラシー(高度な学習力・専門知識)を持って修了;大卒リテラシー,院卒 リテラシーとは何か(定義),今後の検討が必要 ※ 人間力(石川伸一,2003)『学力から人間力へ』 その他の参考文献:『あたらしい教養教育をめざして』,『成人教育の現代的実践 ペ ダゴジーからアンドラゴジーへ』 学部学科(教員)はカリキュラム(科目)で学生を教育する 学生はカリキュラム(科目)で学ぶ 学部学科と学生は相互に影響しあっている 科目設計に関わる視点・視座・価値観 視座:科目担当者,科目経験者・・・ 視点:学習目標,学習内容,学生のレベル,学習者特性 暗黙の価値観:学力保持,就職活動力育成,資格取得,学習者満足(CS)・・・ 科目設計に関わる6項目 →学習者特性;教員特性;社会からの要請;学問特性;学習環境;教授戦略(第三者評 価も含む;FD) →どれが必要か,これで十分か? →制御不可:社会からの要請,学習者特性,学問特性 →制御可:教員特性,教授戦略,学習環境 科目設計に関わる6項目の優先順位は人によってそれぞれ違う あなたはどの項目を使いますか?その順位は?この他にもっと重要な項目は? 授業内容設計シートを作成,授業実践(データ取り)中,ぜひご参加いただきたい <Q&A>※Cはコメント C:この6項目は議論しても結論が出るものとは考えられないので,こうだ,と言い切っ てしまっていえばいいのでは? Q:教授戦略(方略)については何か理論的な背景があるのか? A:特にこれと決まったものがあるわけではない;議論に参加している先生方それぞれ のノウハウ的なものから。 Q:極論をいえばシラバスをどう作るかということか? A:そう考えてもよい。 Q:シラバスは根本的な設計書で,授業内容設計シートはそれを(現実に適応するため に)ブレークダウンしたものか? A:そう考えてよい。日本にはシラバスは契約書でそれに反してはいけないという考え はまだあまりない。 C:シラバスを公開しているか否かということも問題では? C:シラバス通りやると現実の学生とのすり合わせが出来ないという問題がある(その ため日本の現状では現実の授業とシラバスが一致しないケースが常態化している?) Q:大学においても初等・中等教育のように授業計画を立てて教育をしようということ のように思えるが。 A:科目設計に関わる6項目のどれを優先するかは各担当者にゆだねられるが,結果とし て学生が授業内容を「理解」できればよいと考えている。 Q:6項目の中に学習者の評価はどこに入るのか? A:教える方法(教授戦略)に入ると考えられる。 Q:100人中80人が通ったとして(試験に通り単位を取れたとして),20人は理解できて なくていい,と考えることの是非は? A:その問題はまた別なテーマであると考えている。 Q:従来の大学における「研究と教育」とこういった授業(教育)のやり方はどう関連 しているのか?6項目のランク付けは? A:6項目のランク付けによって異なってくる;今回挙げた6項目で十分かという問いか けを今回行った。 Q:6項目の中で予算はどう考える? A:学習環境ではないか? C:経営者の方針は?建学の精神は? C:制御不可・制御可についてはさらに検討が必要では? C:設計手法の開発なので,汎用的なものを考えなくてはいけないのでは? C:この手法はあくまでもひとつの考え方であり,教育のための手法としては普遍的に なるべきではないのでは? A:これはひとつの枠組みであって,ご自由にお使いくださいという考えをしている。 C:(11月の情報教育研究集会のチュートリアルセミナーに参加して)インストラクシ ョナルデザインはシステム設計と類似している;その際,教育というものは自分で自由 にやっていくものだという反論があった;そういった価値観もある。 A:IDには入らないという考えでやっている。 C:今回の話は,システム設計の上流設計の部分を構造化したいという発想ではないか と思う。 (自由枠・30分) 「情報教育の見直し」 福田 真規夫 先生(大阪国際大学) 1.情報教育を取り巻く環境 ITCの普及・拡大 PCの普及率 80%(2005年,1987年は約10%) インターネット世帯利用率 87%(2005年,1996年は約3%) 本学学生(3・4年生):自分が使えるPCあり97%,高校・中学でコンピュータの授業を 受けた87% 大学の情報教育での問題 10数年前と環境や構造(やり方)が変わっていない 情報教育はリテラシ(操作)操作教育;特定のハード,ソフトに依存;大学のPC以外は 使えない状況が出来上がる 中・高の情報教育で学んだことを無視している;リセットしている;本来は積み上げで は 入試広報のための部分もある 他の科目群に対して大きな導入・運用負担 いやし系の授業になっている?(学生のアンケートから推測;講義を聴講する形式より も達成感がある;合間にPCで遊んでいる?) 現行の情報教育 →各科目,主にアプリケーションによって分かれている;内容によっては受講生数に大 きなバラツキがある;受講生の予測が出来ない状態で準備するので当たり外れがある なぜ受講するか? →大学の授業や将来に役に立つと思ったから,が大半だが,単位のためという回答も比 較的多い 2.今後の情報教育 何を教えるか 社会ではどのような能力が求められるか;生活していくために,仕事をしていくために ,どのような能力が必要か →問題解決のための問題解決能力 目的は何か;何を身につけさせるか →情報機器を道具として使うための最低限の能力 →道具を学ぶのではない;家作り全体ではなく,道具であるのみ,カンナ,のこぎりそ れぞれの学習をしてしまっている? どのように教えるか 動機付け 既に学んできたものに上乗せ;題材を専門に近いものに;ツールとして使っているとい う実感を持たせる;リテラシ教育は資格とリンクすべきであろう 効率の良い方法 リテラシ教育は集中講義がよい?;PCを必携させる(大量購入して配布してはどうか? ) →学生アンケート:集中授業(3日程度)について・・・大変良いと思う/まあ良いと 思うが半数以上で比較的多い 教育の成果をどのように検証するか 何が出来るか(技能):従来の方法で;資格・検定の合否で 処理方法のデザイン(設計):課題を与え,結果として 新しい情報教育 リテラシについては: 既修得部分は選択制にする 「履修しないと(この先大変)」との強迫観念を除く プレースメントテストの結果でクラス分けをする 演習題材は,専門分野のものにする 文章処理・表計算処理は,週1回90分でなく,2〜3日の期間の集中授業にする システム構築演習を採り入れる 専門教育科目の中に「ツール」として取り入れる;教育の情報化 システム構築演習 問題解決の道具として使われている情報処理システムについて大学の授業ではほとんど 触れられていない;情報処理システムの概念を掴ませる システム構築の過程を体験させる ユーザーニーズおよび問題の把握;システムによる解決策の策定;システムの入力等, 詳細の設計(表計算ソフトの関数のみを使って製作) まとめ 環境が大きくしかも高速で変化している→情報教育も迅速に対応すべき リテラシ科目:選択,クラス分け,集中 情報処理教育 「教育の情報化」の推進(専門教育の担当者と協議の上);リテラシ科目はそれがスム ーズに出来るように <Q&A>※Cはコメント C:クラス分けの効果の実践研究をしたことがある。学生の満足度は上がり,担当者の やりやすさは向上したが,出来ない人間が出来る人間に引き上げられるという効果が無 くなってしまった。上位層のさらなる伸展には有効だった。 C:クラス分けをしたところ,途中でクラス移動が発生してしまい問題が起こった(マ ッチングミス);慎重に行う必要性。 C:学習者の「ランク」ではなく,本人申告学習スタイル制をやっている(ねちねちVS 楽しく);ただ,レベルの向上は難しい。 C:高校で日商系の3級レベルは「出来ない」部分を持っている場合が多い;2級を持っ ていれば科目免除を考えてもよいのでは? C:資格に通るというのは,自己学習能力の反映ではないだろうか。 C:高校数学科で能力別クラスをやっている;ランク下の層→数は少ないが分散が大き い;個別対応が必要であり有効でもある;そういう点ではランクを分けた方がよいので は;反面,発想の柔軟性はランクの上下には関係ないことも多いので,クラス内の上下 レベル混在状態は予期しない効果が期待できる(ので惜しい)。 Q:今回は所属大学・学科に特異的な話なのか,そうでないのか?(どういう視点でま とめるのか) A:特異的な話でもあるが,他の学校でも同じような問題を抱えているのではないかと 考えている;その点で他の方のお話をうかがいたい。 C:学生が興味を持つなと思っているのは,銀行ATMの仕組みや,スーパーマーケットの 情報戦略など企業の話;しかし4年生にはよいが,1年生には入りづらいので,病院のシ ステムなど生活に身近なものがよいと感じている。 (自由枠・30分) 「電子証明書のしくみ」 石川 高行 先生(大阪国際大学) Security教育のための話題;一般的な事柄 共通鍵暗号と公開鍵暗号 公開鍵暗号は誰に対しても公開してもよい;秘密鍵は公開してはいけない 電子署名:公開鍵と秘密鍵を逆に用いる 公開鍵の受け渡し(1):知り合いなら直接受け取るとよい;公開鍵の交換会もある 公開鍵の受け渡し(2):直接受け取れない場合;Bさんの公開鍵にAさんの電子署名がつ いていたらBさんの公開鍵として受け取る;指紋を用いる方法 SSL(HTTPS)通信:通信を暗号化すると同時に相手の認証も行っている;直接知ってい る相手なら相手の公開鍵をインストールしておけばよい PKI,ルート証明機関;証明機関の証明がついたものは受け入れる 政府PKI,地方自治体PKI,大学PKI 配布方法:警察庁の電子証明書郵送,手渡し/LGPKI:市役所で配布 ブラウザに最初から入っている「ルート証明機関」:Verisign等 電子証明書の作成:それ自体は誰でも作れる;誰からも信頼されていない電子証明書は 「オレオレ証明書」と呼ばれている 電子証明書に警告が出る場合 →信頼できるルート証明機関から発行されていない;URLと一致しない;期限が切れて いる 「オレオレ証明書」を使わざるを得ない事情がある場合も(e-learningのサイトなど) 予算の都合で利用できないなど 学生に電子証明書を手渡し配布;学生に指紋を印刷配布し,DLして利用させる;警告を 無視させて利用させる 電子証明書の警告 →どう教育するか? 電子証明書の仕組みを教える(時間はかかるが教える価値はある) 警告がでたらとにかく「いいえ」を押しなさい(簡単な原則) 警告が出ても「はい」を押させると,電子証明書の存在意味が無くなる;暗号化だけは された通信になっている(しかし相手が本物かどうかは確認できない) 教える手間の軽減と暗号化の利点から「はい」を押させる時代はいつまでか 似たような問題: MLに投稿するときは,誰かの投稿に「返信」すると自動的にあて先が設定される 本文を表示するだけで感染するウイルスはないから添付ファイルを実行しなければ安全 WindoswXP SP2は適用しなくてもよい <Q&A>※Cはコメント C:(今後研究会で)IE6とIE7の話などしていただけないか;IE6はセキュリティ面で問 題が多い;IE7を使うように 3.その他 矢島先生から: フォーラムやIECの発表レジメ等をIECのWebSiteに載せる話が以前あった 2006年11月のフォーラムで使ったファイル(形式は自由)を矢島先生あてに送っていた だきたい(Webに掲載するため;掲載できる範囲で) 高橋先生から: 情報倫理Gメンバー→『ケーススタディ情報モラル』を1部ずつ持って行ってください( 資料研究のため) 次回研究会予定: 2月11日(第203回)は関学梅田キャンパスではなく,大阪電気通信大学四条畷キャンパ スで(時間・内容等詳細は後に決定) 石桁先生の記念講演の前後に研究会の時間を設定 →詳細はBBS記事00531およびML記事”[iec-ken 2857] IEC 2月の定例研究会会場の件 (IEC事務局:横山)”を参照