第217回IEC研究会 日時:2008年4月13日(日) 13:30〜17:00 場所:関学大阪梅田キャンパス 大阪市北区茶屋町19−19 アプローズタワー14階1404番教室 電話:06−6485−5611 http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/ 司会:横山先生 書記:西本 出席(敬称略):中村(州),工藤,野部,下倉,横山,河野,西本,中條,福田,高橋(参),中村(民),阿濱,奥田,石川,田中(規),矢島,竹嶋,小島,河俣,正木,荒木 届出有欠席(敬称略):石桁,畑 新入会(敬称略):長谷川友彦(近江兄弟社高等学校) 見学(敬称略):吉田賢史(甲南高等学校),後藤洋信(京都情報大学院大学),坂本雅洋(同),高橋修司(同),梶木克則(甲子園大学),米田謙三(羽衣学園高等学校) 内容: 1.会務 <IEC研究会事務局連絡(横山先生)> ※一定数の幹事の出席があったため,2008年度第1回幹事会を兼ねる ※以前,本日の午前中に幹事会を行うという予定であったが,アナウンスできていなかったことをお詫びします 配布物: ・IEC会員2007年度 状況(2008.4.12現在) ・IEC会員各位あて書類(A4版両面1枚,内容は2008年度IEC幹事案,2007年度第2回IEC幹事会議事録) ・IEC H19年度会計報告(2007.4.1-2008.3.31) 2008年度IEC幹事案について,追加、辞退、推薦等あれば出していただきたい ※本日の欠席の幹事には,幹事続行の意思確認のメールを事務局から送付する2007年12月の幹事会の議事録について各位確認いただきたい 研究グループの確認 H19年度会計報告(配布資料参照) 2007年度IEC会員の状況確認 2008年度会費納入のお願い(郵便振替でお願いします) 提案とその検討: 石桁正士先生を特別会員に推薦します(工藤先生)→出席者の全会一致をもって承認 代表幹事の任期は2年→2名が同時に変わるということが無いように,任期については例えば半期ずつずらしてゆく形で考えてはどうか(1年毎改選)→出席者の全会一致をもって承認 <諸会連絡・報告> ・終わったもの 3月26日・27日 大学教育研究フォーラム(京都大学) http://www.highedu.kyoto-u.ac.jp/forum/2007/ 中教審と学士課程に関するレジュメあり 3月28日 日本情報科教育学会シンポジウム(関西学院大学梅田キャンパス) 50名余りの参加者あり ・これからのもの 4月26日 関西地区FD連絡協議会 総会 5月10日 日本情報倫理協会 『IT社会の法と倫理(第2版)』邦訳出版記念会(関西学 院大学梅田キャンパス) http://www.janl.net/ 5月10日 ITセミナー(日本文教出版) 5月15・16日 情報処理学会 CMS研 第8回研究会(名古屋大) http://www.ulan.jp/sigcms/ 5月17日 情報処理学会 CE研 第94回研究会(京都情報大学院大学) http://ce.eplang.jp/index.php?94%B2%F3%B8%A6%B5%E6%C8%AF%C9%BD%B2%F1 5月24日 情報倫理セミナー(京都情報大学院大学) http://www.kcg.edu/school_info/news/2008-04-04.html 6月5-7日 第12回サイバー犯罪に関する白浜シンポジウム http://www.sccs-jp.org/SCCS2008/ 6月28日・29日 日本情報科教育学会第1回全国大会(滋賀大学) http://jaeis.org/ 研究発表募集:4月20日くらいから,Webで申し込み,5月半ば締切予定 9月20日 電子情報通信学会 教育工学研究会 (ET) (千里金蘭大) 発表申込受付中(7月15日締切) http://www.ieice.org/ken/program/index.php?tgid=IEICE-ET&lang=jpn <情報回覧等> ・献本・配布 『FDに役立つmoodleの活用事例』(大阪国際大学・大阪国際大学短期大学部 e-learning推進委員会報告集) 矢島先生,石川先生から 別刷 『インターネットにおける情報倫理に関する意識の変化』大阪成蹊大学 現代経営情報学部研究紀要 第5巻第1号(2008) 工藤先生からSITE(Society for Information Technology & Teacher Education) プ ログラム,アブストラクトのコピー 福田先生から 参考:http://site.aace.org/conf/ ・回覧 大学教育研究フォーラム@京都大学(3月26・27日)資料(発表論文集等,各種) 週刊ダイヤモンド 2008/4/5号 「学力大不安」 New Jersy Department of Education adopted core curriculum content standards(October 2004) 『フィンランドメソッド実践ドリル』(2008)諸葛正弥,毎日コミュニケーションズ 『人は「感情」から老化する―前頭葉の若さを保つ習慣術』(祥伝社新書)(2006)和田秀樹,祥伝社 『ネット未来地図 ポスト・グーグル時代 20の論点』(文春新書)(2007)佐々木俊尚,文藝春秋 『オランダ 寛容の国の改革と模索』(寺子屋新書)(2006)太田和敬・見原礼子,子どもの未来社 『あなたにも解ける東大数学―発想と思考のトレーニング』(PHP新書)(2008)田中保成,PHP研究所 ・研究発表 ・高橋 参吉 先生 中学校の技術・家庭科の学習指導要領と教科「情報」 配布資料: ・中学校技術科の分野別大項目・中項目数比較表(現行と新) ・中学校技術科の学習指導要領 現行と新の対照表(B 情報とコンピュータ,D 情報に 関する技術 の箇所抜粋) 中学校技術・家庭科学習指導要領(現行) A 技術とものづくり B 情報とコンピュータ の2部構成 175時間が技術・家庭科の時間数 新しい方は 4部構成 A 材料と加工に関する技術 B エネルギー変換に関する技術 C 生物育成に関する技術 D 情報に関する技術 →項目数からは、ものづくりの方が情報よりも重視されたと考えられる;項目数につい ては配布資料参照 項目数と時間の割合の比較: 現行では「B 情報とコンピュータ」は48%(大項目5,6は選択であることを考慮すると 43.5%)時間数についてはそれぞれ42%,38% 新では「D 情報に関する技術」は33.3%,時間数では29.2%に 現行と新の比較→従来選択であった5と6が新の2と3に入った 以上からの考察: 今まで1〜4は基礎的なものと考えられて入れられていたが,これらは基礎的なことは小 学校で学んでいるとみなされていることがうかがえ(コンピュータの基本的な操作), 無くなったと考えられる 新では「仕組み」という文言が入っている 新では「責任」という言葉が入っている(旧では「情報モラルの必要性について考える 」で,自分の行ったことの責任についてまでは踏み込んでいないと解釈できる) 「マルチメディア」という表現が消えた→「多様なメディア」という表現が出てきた 「制作品の設計」と突っ込んだ表現に 計測・制御の「基本的な仕組み」を知る(現行では活用中心) 「情報処理の手順」→アルゴリズムを考慮している? 総合的に考えると: 情報活用の実践力というところはトーンを落とし,コンピュータの「中身」というもの に特化した内容になっていると考えられる 「メディア」の定義について: 『情報メディア入門』(2002)高橋,西野,立田,野村,実教出版→引用文献『情報メ ディア工学』(1999)美濃,西田,オーム社 メディアには3つの階層がある 1)情報メディア:情報を伝えるメディア:新聞、ラジオ、テレビ、電話 2)表現メディア:情報メディアで伝えたい情報を表現するためのメディア:言語、画 像、文字、音声 3)通信メディア:表現メディアを伝送するためのメディア:電気信号を伝える電線、 文字を書く紙、音を伝える空気 である。 メディアは一般には「情報の媒体」であるが, (1)基本物質(空気,水,電子,・・・) (2)(1)で形成される波(疎密波,電磁波,光,・・・) (3)情報の表現形態である記号(文字,音,画像,映像,・・・) (4)(3)を記録する物体(紙,磁気テープ,磁気ディスク,・・・) (5)(4)による情報の編集物(本,新聞,CD,DVD,・・・) (6)(5)を流通させる組織・機関(出版社,新聞社,放送局,・・・) 狭義の情報分野では(3)と(4)の階層が主で,部分的に(2)と(5)が入ってくると考えられ る 以上中学校の話,高等学校との関連では: 審議のまとめのみ出ている段階 文部科学省 新しい学習指導要領のページ http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm H19年11/7の資料 「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ(抜粋)」(PDFフ ァイル) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/001/07110606/001.pdf 上記資料のp40-45 p64-65 p112-113 p121-123 を参照 p64-65のあたり: 情報モラルに関する記述「情報化の影の部分もこどもたちに大きな影響」「「掲示板」 への書き込みによる誹謗中傷やいじめ」 大学や高専で起こってきたことが高校,中学,小学校に降りてきている;参画・実践の 指導の必要性 (小学校段階)「コンピュータや情報通信ネットワークなどの*積極的な活用*(従来 は慣れ親しむ)」 (中学校段階)「コンピュータや情報通信ネットワークなどを*主体的に活用*」技術 ・家庭では活用の内容のトーンが落ちた一方,各教科の中で活用してほしいという解釈 ができる (高等学校段階)「コンピュータや情報通信ネットワークなどを*実践的に活用*」各 教科の中で 課題として 小学校段階:情報モラルに関する指導が十分でない 中学校段階:中学校卒業段階での生徒の情報活用能力に差が見られる 高等学校段階:入学段階での知識・技能の個人差 情報モラルとは 従来は「ルールやマナー」ということにとどまっていたのが,「危険回避,個人情報・ プライバシー」等を含めたものになっている p112-113(高等学校の教科内容) 「社会と情報」については,情報化の進む社会に*積極的に参画することができる能力 ・態度*を育てることに重点を置く(と考えられる) 「情報の科学」については,科学的な見方・考え方の理解・習得,科学的思考力・判断 力等を養う,*社会の情報化の進展に主体的に寄与する*ということに重点;単に使え るというだけではなく,仕組みを理解する 情報教育の目標の3観点とは情報活用の実践力,情報の科学的な理解,情報社会に参画 する態度のことである(ことは従来と同じである) Q&A(Cはコメント) Q:家庭科と技術科の中の情報分野との関係(比率)は(家庭科,ものつくり,情報分 野それぞれ1/3というイメージだが)? A:家庭科と技術科は1:1です。 Q:技術・家庭の中に情報が入ってきた経緯は? A:技術・家庭の中に情報を入れなかったら入るところがなかったという過去の事情が ある。 C:ものつくりを技術科での扱いを大きくし(ものつくりの重視),情報技術を独立さ せた方がよいのではないか? C:中学校技術・家庭の立場から→小学校段階でどれだけのことがされているかという のが大きい;学校間格差が大きい(熱心な教員が居るかどうかに依存する);小学校で やっていない子どもが中学校で困るのでは? C:平等にするというのは無理な話(能力差,家庭環境の差もある)ではある。 C:(以前は選択というものもあったが)新しい指導要領にあることは必ずやることに 決まっている。 C:「仕組み」「利用」「活用」とはどのような(どの程度の)ものを指しているのか ?→指導要領には具体的に書き過ぎないことが一般的(大きく概念を記す);教科書に 落とし込む時に詳細になる。 ・田中 規久雄 先生 高校教科「情報」に対する法的側面からの期待 配布資料: ・「高校教科『情報』に対する法的側面からの期待−2008年学習指導要領改訂を見すえ て−」(高校教科「情報」シンポジウム関西 −ジョーシン関西− 高校教科「情報」 の今後 講演論文集(2008),p18-26のコピー) 1998年8月調査研究協力者会議 http://211.120.54.153/b_menu/shingi/chousa/shotou/002/toushin/980801.htm 『情報活用能力』 (1)情報活用の実践力 (2)情報の科学的な理解 (3)情報社会に参画する態度 (4)必要最小限の基本操作の習得→これが上記(1)〜(3)の基礎になる;これそのものは 『情報活用能力』ではない 2006年1月19日「IT新改革戦略」(内閣官房) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/060119gaiyou.pdf http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/060119honbun.pdf 児童生徒を対象とした情報モラル教育を推進する 現在までの実態調査を概観するに: ・情報モラルの重視 ・小中学校での操作スキルの充実 ・高校での操作スキル教育の意義の低下 ・教科書→「情報A」採択率の低下,教科書内容はリテラシー記述の減少 ・全国高等学校校長会「高等学校学習指導要領改訂に向けて」2007年7月9日 http://www.zen-koh-choh.jp/img/iken/070706/shidou.pdf →「『情報』は必修科目からはずして選択教科にする」との記述 ただし,操作スキル教育は後退しても,「情報活用の実践力」教育が後退したわけでは ない 「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善につい て」 中教審答申(2008年1月17日) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/news/20080117.pdf 教科等を横断して改善すべき事項:コンピュータや情報通信ネットワークなどの積極的 な活用,情報モラル,情報安全等 小学校:情報モラルにかかわる指導の充実 中学校:マルチメディア,プログラミング等必修化,コンピュータや情報通信ネットワ ークなどを主体的に活用,情報モラルにかかわる指導の充実 高等学校:、コンピュータや情報通信ネットワークなどを実践的に活用,情報モラルに ついての指導の充実,普通教科「情報」学習指導要領への改善提案 現行小中学校学習指導要領と2月案(2008年2月15日) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/080216.htm 小学校:道徳との関連性を踏まえた指導 中学校:社会科の公民的分野→主体的な情報手段の活用,情報モラルの指導 コンピュータなど,情報に関連する記述がある科目(中学校) 変更点: 小学校では明記されていなかった情報モラル教育が始まる 中学校では従来の技術・家庭,保健に加え「各教科,公民」で情報モラルを扱う IT新改革戦略 初等中等教育からの情報セキュリティ教育を推進する。また,児童生徒,保護者及び教 師を対象とした情報モラル教育を推進する 「情報モラル」指導実践キックオフガイド(2007/3) http://www.kayoo.org/moral-guidebook/pamph_pdf/index.html 注 新課程では操作スキルに重点を置く「情報A」は廃止→もともと調査研究協力者会議は 「情報活用の実践力」は他教科で養成するとしていた(第1次報告1997/10)が,当時の 国民のリテラシーレベルに鑑み,教育課程審議会は「情報A」を設置(1998/7答申) 情報モラル教育の内容と位置づけ 情報モラル教育の「対象」と「方法」の認識 対象:「個人情報・プライバシー,人権侵害,著作権等に対する対応や,コンピュータ などの情報機器の使用による健康とのかかわりなど」 方法:倫理,技術,規制によるアプローチ おわりに 情報モラルの問題対象に対する規制的アプローチ(法的アプローチ)を高度化すること は決して難しいことではない 教員養成課程での「情報社会と情報倫理」の内容の高度化が今後の情報モラル教育全般 の高度化に対応できるのだろうか 「情報法」等を情報科の教員養成科目として開講している大学はさほど多くないように 思われる 教員養成過程が,専門教科「情報」教員養成(情報技術のみに近い;技術者倫理という アプローチはあるが情報倫理の科目はない)に引きずられている? #情報倫理に関しては,普通教科「情報」>専門教科「情報」ということになってしま う可能性がある Q&A Q:「情報法」という科目はどういう内容か? A:配布資料の中にあるので参照いただきたい Q:情報科教育法を担当する立場から:「情報法」に関する内容をどのようにして学ぶ のか A:弁護士向けの本は多数あるが,現状では文献少ない C:教育大における教員養成コースと,一般の大学での教育内容には差がある(と考え られる)ため,教員養成課程科目内容のモデルを明確に示す必要があるのでは? C:指導要領の改訂に連動して免許法の改正をするという考えはないのか? C:情報倫理としての高度な内容というのは専門教科「情報」には無いという言い方は 可能であろう(技術者倫理,職業倫理という内容はある;情報セキュリティという内容 もある) C:情報倫理は専門教科「情報」に入れるべき内容か?→普通教科「情報」をやらなく てよいという現状を変えるべき ・中條 道雄 先生 アメリカにおける情報教育の現状と課題−中等教育段階におけるカ リキュラムを中心に− アメリカにおける情報教育の流れ NETS/ISTE初版 NETS*S(1998) NAS/NRC 情報フルーエンシー(1999) ACM/CSTA K-12カリキュラム(2003) NETS/ISTE新版 NETS*S(2007) アメリカでは情報教育は科学技術教育の流れの中にある 情報フルーエンシー(全米科学協会,1999) "Being Fluent with Information Technology" 3つの基本要素:現代的な技能,基盤概念,知的能力 K-12カリキュラム(2003) 日本と違い,全国統一の指導要領的なものがない(州毎により違う) 州,学区によるばらつきが大きい(独自性大)→まとめるための指針 発達段階に応じた4レベルの提言 L1 K-8 コンピュータ科学の基礎 教科埋め込み L2 K9,10 現代社会におけるコンピュータ 必修科目 L3 K10,11 分析と設計のためのコンピュータ科学 理系科目 L4 K11,12 コンピュータ科学の話題 学校設定科目 NETS/ISTE NETS*S(Student)1998,2007→日本のP検が準拠 NETS*T(Teachers)2002,2008? NETS*A(Administrators)2002,2009? 法的拘束力はもたないがほとんどの州で採用されている(影響度大) 初版の6つのカテゴリー 基本的な操作技能と概念の理解 社会的,倫理的,人間的な課題 創造,生産の道具としてのテクノロジーの活用 コミュニケーションの道具としてのテクノロジーの活用 研究のための道具としてのテクノりじーの活用 問題解決,意思決定の道具としてのテクノロジーの活用 →6つ中4つに「道具としてのテクノロジーの活用」とあるのが10年前の立場 新版 創造性と革新(技術を用いて創造的な思考力を示し,知識を構築し,革新的な作品や工 程を開発する) コミュニケーションと協調(デジタルメディア環境を用いて,遠隔も含めた協調的なコ ミュニケーションと作業を行い各人の学習を支援し,他の人の学習にも寄与する) 研究と情報活動のためのフルーエンシー(デジタル機器を活用して情報を収集・評価・ 活用する;情報を*倫理的に*用いる) *クリティカルシンキング*,問題解決,意思決定(クリティカルシンキングの技法を 用いて研究を企画・実行し,プロジェクトを管理し,適応したデジタルな道具を用いて 問題解決と適切な情報に基づいた意思決定を行う) デジタル社会における*市民性*(digital citizenship)(技術に関係する人間的・文 化的・社会的な課題について理解し,法律と倫理に則って実践を行う;安全かつ倫理的 で責任ある情報と技術の利用を提唱する;生涯学習:デジタル社会における市民性につ いての指導力を示す) 技術の*原理*と*働き*(技術の原理,システムとその働きについてしっかり理解し ていることを明示する;システムと応用技術の故障修理をおこなう) 4つの発達段階 幼稚園前〜2年生 3〜5年生 6〜8年生 9〜12年生 これらの発達段階と前述のカテゴリーをクロスさせマトリクスの形でまとめられている ACMによるカリキュラム提言 L1 K-8 コンピュータ科学の基礎 基礎的な概念,基礎技能+簡単なアルゴリズム, 使うことで「慣れ親しむ」,他教科埋め込み L2 K9,10 現代社会におけるコンピュータ コンピュータ科学入門,基本的理解,コ ンピュータ関連の職業,倫理的な課題について議論 L3 K10,11 分析と設計のためのコンピュータ科学 コンピュータ科学についての科 学的・工学的な内容 L4 K11,12 コンピュータ科学の話題 個人的に興味のある話題を学べる(深い理解 ,特定・特別な技能),選択科目として提供,業界の資格検定取得目標科目等 CSTAによる調査(2005,2007,高校対象) コンピュータサイエンスの科目を提供→70%余り コンピュータサイエンス入門科目必修→26%,33% 女子,マイノリティ→コンピュータサイエンス科目履修少ない 科目の中で扱う内容→問題解決,グラフィック,ハードウエア,倫理的・社会的問題, プログラミングは↓,セキュリティは↑,論理回路 Q&A Q:2ちゃんねる的なものは米国でもあるのか? A:MySpace等,多くある。情報絡みの事件は日本と同様,発生している。 Q:情報フルーエンシーの概念の背景は? A:他国に比べて遅れている,国際競争力の低下に対する危機感,システム開発のオフ ショア化→国内での高度なシステム開発の必要性 Q:大統領が変わると政策が変わると聞くが? A:福祉施策などは政権により差が大きいが,本問題についてはブレは比較的小さいと 考えてよいのでは(産業界からの後押しもあり;学会や産業界の協同も比較的よい印象 がある) Q:新版の6つのカテゴリ中,「クリティカルシンキング」があるのには,フィンランド の教育の影響もあるのか? A:米国の教育の特徴が出ているのではないか(小学校段階からディスカッションをよ くおこなうなど) ・福田 真規夫 先生 国際会議SITE(Society for Information Technology & Teacher Education)の参加報告 配布資料:大会プログラム,アブストラクトのコピー(参考:http://site.aace.org/conf/) http://www.aace.org/conf/Cities/LasVegas/default.htm 2008年3月3日〜7日 遠隔教育等,多数のトピックス;比較的実践的な話題が多い;大会サイトでアブストラ クト検索が可能 基調講演(資料参照) 来年度はノースカロライナ州のチャールストンで3月(発表申し込みは10月締切) 研究発表の種別:Full Paper, Brief Paper, Poster, Demonstration(後者2つは2時間 のセッション) 福田先生の発表(資料囲み内) 卒業研究の支援システムについて(Research of Support System in Project Based Lea rning) Q&A Q:小中学校の授業実践の報告もあるのか? A:そのような発表もある Q:日本人はどの程度? A:30名程度かと。会場ではあまり見かけなかった。