もっと詳しいIECの紹介


 現在の日本は、あらゆる面で「情報」との関わりが不可欠な社会となっています。技術・メディア・産業さらに教育と、「情報」の後に続く言葉とその意味は、これと限定できないほど広く、現代社会を理解するためのカギとなる言葉であることは疑いありません。

 教育の世界で「情報」について盛んに取り上げ始められたのは、もうかなり古いと思います。電子計算機が社会に出始めた頃からです。その計算能力を利用して、効率化や合理化、予測計算等の活用範囲が広がり、性能の向上や通信技術の発達と共に、情報産業が社会基盤(インフラ)となってきました。これに合わすように、理工系大学や専門学校(あるいは専修学校)で計算機そのものや応用技術の教育・研究が行われるようになってきたわけです。その後、計算機上で電子化された情報を利用する産業が起こり、経済や経営、あるいはデータベースを扱うなどの文科系においても「情報」を扱う教育・研究が盛んに行われるようになりました。

 このように、生活の中に「情報」との関わりがあふれる高度情報社会では、すべての人達が「情報活用能力」と言われる社会生活力を必要とするようになって来たと思われます。
 この「情報活用能力」は、平成元年に、文部省が教育現場に示した新学習指導要領告示の少し前、「初等中等教育・社会教育における情報手段の活用や情報活用能力(これを情報リテラシーと言った)の育成、高等教育や学術研究における情報手段の活用や情報化社会のリーダーの育成について」で示されたの始まりです。これ以降、平成4年(1992年)の初等教育から「情報教育」が順次実施され、今日では、すべての教育段階で行われています。
 このような背景の中、私達は、その新学習指導要領が出た頃より、学校教育だけなく情報教育の重要性を考える教育現場の教員や、企業内教育教育に関わる者らが、CAI学会(現教育システム情報学会)の関西支部長の石桁正士先生(現大阪電気通信大学名誉教授)を囲んで集まり、情報教育学研究会(IEC)を結成しました。それから、指導要領で示される枠を超えて、総合的な情報教育の研究を目指し、活動を続けています。

 研究面では、情報活用能力についての概念をまとめ、能力向上のためのモデル作りや評価方法についてまとめてきました。これらの概念は情報リテラシーを構成する能力要因として定義してきました。そして、その中で「リテラシーが、人間の極めて基盤的な能力である」との位置づけが、私達の一致した意見となりました。  以後、私達は、リテラシーと言う言葉に、基盤能力と言う言葉を当てています。それぞれの会員は、「情報基盤能力向上」という概念をそれぞれの本務校や企業で実践し、研鑽と研究を深めています。

 また、研究と共に大学や短期大学・専門学校等で使用するテキストとして、「情報社会と情報基礎(第一法規・平成2年4月初版)」の出版を行いました。この「情報社会と情報基礎」は、平成6年4月には改訂を行い、テキストにだけでなく、情報の入門書として一般にも広く好評を頂きながら、今日に至っています。また、平成9年6月には「情報教育の知恵」を出版しました。この著書では、情報教育を受け持つ教員が、授業や演習で役立てることができるように、各会員の教育実践に基づいた情報教育の事例を具体的に載せました。さらに、出版で得た印税で、毎年「情報教育フォーラム」を開催するなどの活動を行っています。このフォーラムは、学校教育や社会教育と言った広い教育現場の方々が、多数集まり熱のこもった討議や交流が行われます(教育フォーラムの歴史をご参考下さい)。

 研究会は、毎月第2日曜日に開催しています。情報活用能力・情報リテラシー・情報活用の基盤能力の育成に関心のある方々の入会を歓迎いたします。また、フォーラムへの参加も歓迎いたします。 
 
(研究会一同)